(概要)
錦帯橋は、山口県岩国市を流れる錦川に架かる木造五連アーチ橋で、日本を代表する歴史的名橋である。初代は1673(延宝元)年、岩国藩主吉川広嘉によって架けられ、洪水の多い錦川でも流されない橋を目指して独創的な構造が考案された。五つの半円を連ねた優美な姿は他に例がなく、国の名勝に指定されている。
橋脚には石積み、上部には精巧な木組みを用い、釘をほとんど使わずに組み上げる伝統工法が特徴である。アーチの曲線は力学的にも合理的で、江戸時代の高度な土木技術を今に伝える。現在の橋は1950(昭和25)年の台風で流失後、1953年に再建され、その後も20年ごとに大規模な架け替えや修理が続けられてきた。
周囲には岩国城や吉香公園、城下町の町並みが広がり、橋と一体となった景観が四季折々に美しい。春は桜、夏は鵜飼や花火、秋は紅葉、冬は雪化粧と、訪れる時期ごとに異なる表情を見せる。夕暮れに川面へ映る五連アーチの影はとりわけ情緒深く、多くの画家や写真家を魅了してきた。
錦帯橋は観光名所であると同時に、岩国の人々の生活と誇りを象徴する存在である。藩政期から現在まで、幾度の災害を乗り越えながら守り継がれてきた歴史は、地域の結束と技術継承の物語でもある。渡橋は有料で、木の踏み心地や緩やかな勾配を実際に体感できる。
三百年以上の時を超えてたたずむ錦帯橋は、日本建築の美意識と自然との調和を体現している。機能だけでなく景観を重んじた先人の知恵は、現代にも新鮮な感動を与える。錦川の流れに寄り添う五つの弧は、岩国の象徴として静かに未来へと受け継がれている。
(アクセス)
車では、山陽自動車道岩国ICを出て、10分程です。駐車場は河川敷駐車場か横山地区駐車場にあります。バス便はJR岩国駅と山陽新幹線新岩国駅から錦帯橋行きでそれぞれ20分、15分です。➠ Map

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