(概要)
ビジャトゥエルタのロマネスク橋(Puente Románico de Villatuerta)は、スペイン北部ナバーラ州の小村ビジャトゥエルタに残る中世石橋で、サンティアゴ巡礼路フランス人の道の重要な通過点として知られる。エステーリャの町から数キロ西に位置し、エガ川に架かるこの橋は11~12世紀に建設されたと考えられ、半円アーチを主体とする素朴なロマネスク様式をよく伝えている。
橋は三連のアーチから成り、厚みのある切石積みと緩やかな勾配が特徴である。欄干は低く、石畳の路面には長年の通行で生じた摩耗の跡が残り、幾世紀にもわたる巡礼者の足取りを感じさせる。中世にはこの地点に巡礼宿や施療院が置かれ、旅人は川を渡った後に休息と食事を得たという記録がある。現在も橋のたもとには古い教会や伝統家屋が並び、ナバーラ農村の静かな景観と調和している。
エガ川は四季を通じて水量が安定し、春には川岸のポプラが芽吹き、秋には黄金色に染まる。アーチが水面に映る情景は穏やかで、写真家や巡礼者に人気が高い。交通の主役が近代道路へ移った後も、橋は歩行者専用として大切に保存され、巡礼路の標識とともに利用され続けている。
ビジャトゥエルタのロマネスク橋は、単なる土木遺構ではなく、信仰・交易・地域生活を結んだ中世社会の記憶そのものである。石の質感に刻まれた時間は、サンティアゴを目指す現代の旅人にも静かな励ましを与え、ナバーラに息づく巡礼文化の奥行きを伝えている。
(アクセス)
パンプローナ・バスターミナル発のLa Estellesa 社などの路線バスに30分程乗り、Puente la Reina停留所に下車して、エステーリャ方向に約4kmで1時間程歩く。➠ Map

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